「アングラ」の定義ってどうなってるのかなぁ

VOCALOID界隈における「アングラ」ってものを考えてみます。ボカロのアングラってものは、世間一般で考えられているような定義とは、意味合いがだいぶ違うようです。


オススメ曲の公開マイリストを見て、ニコニコ動画内のボカロ界でアングラな世界が築かれつつある。そんなことを感じ、動画としてまとめたものがこのアングラカタログです(作った本人じゃないから、実際のところはわかんないけどねw)。

この動画ができる前は散らばっていた作品たちが、こうやってまとめられたことで、「アングラ」として意識されてるようになっていったわけです。


上記の動画では、「再生数1万以下の作者限定で、他の人は絶対にこんな事やらねぇ!ストイックで奇個性!と感じた方々を独断で特集」という姿勢でまとめられています。その後に編集されたカタログも、この初代カタログの意思を継いでまとめられています。
※ ちなみに、初代編集者さんは他にもPART4,8を編集しています。


この動画の説明文は、「アングラ」に関して何の定義もしていません。客観的な指標としては、「再生数1万以下の作者限定」だけで、あとはまさに独断でしかないわけです。
これに倣って、私も特にボカロアングラに関して定義をすることはしない、という方針でいきたいと思います(なんじゃそりゃw)。


ここでニコニコ動画で再生数が伸びにくいという面に注目してみると、多くの動画が、マイリスト(お気に入り)に入れられることが少ない→ランキングに上がらない→再生数もコメントもつきにくい→埋もれてしまうのパターンを辿っているようです。
なかなか他の人に勧めにくく、口コミ効果が少ない、ということも再生数が伸びない理由としてあるかもしれません。
ニコ動のランキングの仕様変更(改悪?)もあって、口コミ効果はバカにできなくなると思います。


他にもニコニコ動画ならではの問題があるかもしれませんが、ひとまず再生数についてはここまでにしておきましょう。実際、マイリストはお気に入りのブックマークとしてではなく、人気投票として使われているのも事実なので、判断材料としては難しいものです。外部ブックマークやmp3抽出などもありますし。



さて、では気を取り直して、もう少しアングラというものを分解して考えてみましょうか。アングラカタログで紹介されている曲にはいろいろな方向性をもっていますが、大きく分けると3つくらいにまとめられそうです。
某所でのsansuiPによるアングラ論が下地です。というかパクリです。ごめんなさい。
例として出された方、気を悪くされたら申し訳ないです。


アングラを3つにカテゴライズすると、こんな感じになります。

  1. 「音」としてのアングラ
  2. 「テーマ」としてのアングラ
  3. 「存在」としてのアングラ

1.は、音そのものが一般受けしにくい個性的な質感、構成をしているもの。
あくまで音が主役であり、VOCALOIDを歌手としてではなく、声の楽器として使用している傾向があります。

例えば、次のような人たち
・アニメーションも凝っていますが、独特の音を奏でるこんぺいとうP

・まさにVOCALOIDを楽器として使っているsansuiP

・前衛的な音楽を生み出し続ける宇宙電波受信P



2.は、音以外の部分(歌詞や絵、動画)で表現されたテーマが一般受けしにくいもの。テーマが主役であり、音はそれを引き立たせるために使われる傾向にあるもの。

例えば、次のような人たち
・なかなか触れらることのない、ある種タブー的なテーマも平然と扱う苅田狼藉

・鬱曲として独特の世界を歌いあげる牢獄P

・鬱積した感情をそのまま曲にぶつけているかのようなネガティブP


3.は、作り手そのものの立ち位置や存在感がひっそりとしていて、目立ちにくいもの。所謂、知る人ぞ知る名曲と言われるものを作っている方々。
ふとしたきっかけで一般受けする可能性を秘めているが、少々マイナージャンルの音楽であるため、一般的に認知されにくいもの。
「隠れた名曲」、「もっと評価されるべき」といったタグがつけられている場合が多い。
またこれらの音楽は知っている人にとっては、「アングラ」という意識が薄いため、カタログで紹介されると「この人(曲)はアングラではない」という意見がでやすいジャンルでもあります。

例えば、次のような人たち
エレクトロニカ路線で、「プラスチック・ガール」で一気にブレイクしたkiichiさん(なんとかP)

・独特の音作りで作品を作り続け、VOCALOIDランキングED曲に採用され一気に知名度が上がった機材欲しいP

・複雑に絡み合う音作りが特徴で、「メコノプシス・ベトニキフォリア」が一気にブレイクしたちゃぁさん



このように「音」「テーマ」「存在」と大別してみても、実際は複数の要素を持つ曲や作り手さんが多いので、あくまで参考程度の傾向として考えてくださいまし。
特に「音」と「存在」はかなり似通った概念ですので、判別は難しいものも多いです。
アングラカタログではこの3つの領域をうまく揃えると、内容に富んだおもしろいものができるようです。各カタログごとに分析してみると、けっこう偏りがあったりして、編集者の好みが分析できたりしておもしろいものです。

以上、上記の論考をしたsansuiPを超リスペクトということで、今回はおしまい!

次からはカタログごとに振り返ったり、作者ごとに自分なりの感想をつけていこうかな。